足首のねんざは中途半端な状態で復帰するとその後遺症によってねんざの再発や競技ぱパフォーマンスの低下につながることが多々あります。
ねんざの正体は足首周りの靭帯の損傷であると前述の記事ではお話ししました。そのため、ねんざからの復帰の大前提にはこの傷がちゃんと癒えている(修復されている)かが挙げられます。
ねんざの重症度の度合いもこの傷の深さによって変わりますが、しっかりと治すにはある程度の時間をかけなければなりません。
そこで気になるのは、どれぐらいで復帰が可能なのかですよね。
復帰までどれぐらいの時間がかかるのかは非常に気になるところだと思いますが、ある程度の推測は初期症状の状態で推測が可能でもあります。
推測に必要な判断材料は以下のものです。
今回は、その推測の仕方についてまとめていきたいと思います。
自己紹介
10年以上整形外科の現場で多くのスポーツ選手へリハビリサポートし、サッカー現場でも多くの選手をサポートしてきた自分が見てきたケガについてリアルな部分をまとめていきます。
靭帯の損傷度合いについて
冒頭でも紹介したように靭帯損傷を伴うねんざからの復帰の大前提には、損傷靭帯の修復が完了している状態が挙げられます。
傷の度合いによっては修復にかかる期間が異なるので、この程度も考慮しながら復帰までのスケジューリングを行う必要があります。
定義2 | 復帰までの期間3 | |
Ⅰ度損傷(軽度) | 外くるぶしの前下方にある靭帯(前距腓靭帯)の部分損傷 | 1~2週間 |
Ⅱ度損傷(中等度) | 前距腓靭帯の完全損傷 | 3~4週間 |
Ⅲ度損傷(重度) | 前距腓靭帯と外くるぶしの下にある靭帯(踵腓靭帯)の完全損傷 | 5~6週間 (※2~3週間の固定が必要) |
なお、この重症度の判断は医師によるレントゲンや超音波検査・MRI検査などの精密検査を行う必要がありますので、ねんざをしてしまった際には必ず医療機関へ受診するようにしましょう。
片脚負荷テストによる復帰時期の予測
どれぐらいの期間、練習や試合に参加できないのかは選手やコーチ、サポートするトレーナーなど皆がすぐに知りたい情報ですよね。
傷の深さによる予後予測は、検査に必要な道具がないと難しいためスポーツ現場ではなかなか活用しきれないですよね。
それを解消するのが、受傷直後の動作時痛の出方で復帰までに必要な期間を推測する方法です。
その場でできる簡単な動作における痛みの有無である程度推測できるのは、選手もコーチ・トレーナーにとっても助かりますよね。
野田らの報告4によると「片脚立ちが可能か痛みによって不可能か」「片脚連続ジャンプが可能か痛みによって不可能か」それによってジョギング・競技復帰開始時期に有意な差があったとしています。その報告が以下の表になります。
ジョギング開始時期 | 競技復帰開始時期 | |
片脚立位不可群 | 1.9週±1.2 | 3.0週±2.1 |
片脚立位可能群 | 1.3週±1.0 | 2.6週±1.5 |
片脚ジャンプ可能群 | 0.3週±0.5 | 1.6週±1.0 |
3秒以上片脚立ちができる、3回以上連続片脚ジャンプができない=片脚立位可能群
3回以上連続片脚ジャンプができる=片脚ジャンプ可能群
直後にケガした方の足にしっかりと体重をかけて片脚で立てるかどうかは復帰にかかる時間を左右する大きな要素となりそうです。
片脚立ちができないほどの症状の場合、靭帯の傷の度合いも深刻にとらえる必要があり、医療機関への受診もしましょう。
適切に体重がかけられ、連続動作が行えないとスポーツ動作も行えないと考えています。そのため、実際に現場(試合中)でも最低限、ジャンプができるかどうかが復帰させるかどうかの基準にしています。
まとめ
今回はねんざから復帰するまでの期間のおおまかな予測についてまとめました。ねんざをしないことに越したことはありませんが、それもなかなか難しい話で、大事なのは無理な状態で復帰をしないこと再発しない状態で復帰することです。
簡便な方法で予測ができればその場である程度重症度を判断することが可能になるのではないかと思います。
また、早い段階で復帰までに必要な期間を把握することができれば、復帰までに必要なことを逆算することができるようになり、その時その時でやるべきことを整理することもできるようになると思います。
万が一、ひねってしまった場合は今回お伝えした内容を実践してみるようにしましょう!
必ず病院へ受診するようにもしましょう!
参考文献