股関節の硬さに悩む学生・トップアスリートやスポーツ愛好家は非常に多いと思います。
こちらの記事ではそのような方々向けにおすすめしたいストレッチ方法を紹介しました。
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股関節の硬さに悩んだらコレ!おすすめ股関節系ストレッチ3選!
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この記事内でも紹介しているように股関節の可動性を引き出すためには股関節の噛み合わせをよくすることが重要であります。
噛み合わせを良くする方法は2つ。
今回は、個々の筋力トレーニングによって噛み合わせをよくして可動性改善につなげる方法について紹介します!
股関節の可動性を引き出すことは腰痛やひざの痛みに悩む人にも重要なリハビリ要素となりますので、ぜひそのような悩みを抱えている人も参考にしてもらえると嬉しいです!
- 股関節の硬さに悩んでいる選手・保護者
- 腰痛・ひざの痛みに悩んでいる選手・保護者
- 基本的な身体能力を高めたいと考えている選手・保護者
目次
自己紹介
10年以上整形外科の現場で多くのスポーツ選手へリハビリサポートし、サッカー現場でも多くの選手をサポートしてきた自分が見てきたケガについてリアルな部分をまとめていきます。
股関節の可動性に欠かせない筋肉たち
冒頭に紹介した記事内でもまとめましたが、噛み合わせを保持して可動性を拡大させる役割を担う筋肉たちは以下のようなものです。
これらの筋肉は太ももの付け根(大腿骨頭)と並行して付着していると考えられています。そのため、適切に機能することで大腿骨(太ももの骨)が骨盤に押しつけられるようになり、最大限に動くために必要なレール(軌道)にそって大腿骨を動かせうようになります。
股関節の硬さに悩む人の多くが、このレール上でうまく動かせていません。そのため、このレールに乗せてあげることができるかどうかがポイントとなります。
適切なレール上で動かせているか確認したい場合はこちらで紹介している動きを実践してみてください!
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可動性改善に向けたおすすめトレーニング4選!
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腸腰筋トレーニング
この筋肉は腰から股関節(足の付け根)の前面にかけて付着する筋肉で、足を大きく上に持ち上げたり上半身が反りすぎないよう姿勢を保持する役割を持ちます。
腸腰筋は最大限伸ばした(ストレッチした)ポジションで姿勢を保持するように力を入れさせるとより刺激が入りやすい1と考えられているため以下のような方法で取り組むと効果的ではないかと考えます。
腸腰筋トレーニング
- 足を前後に開き前足に体重を乗せ後ろ足の腸腰筋(付け根の前方)を最大限に伸ばす
- おもりなどを頭上で持ち後ろ足側へ上体を倒す
- 後ろ足の付け根の前から脇腹に伸ばされる感覚があればok
※上体を倒した時にバランスをとるようにお尻を後ろ足側にすこし移動させるとより負荷をかけることができます。
中殿筋トレーニング
この筋肉は骨盤の脇から大腿骨の外側に付着し、歩いている際などの体の横ブレを抑え姿勢を保つ役割を担います。
足を大きく横に広げるだけでなく、股関節を捻る動きに対しても強く活動し姿勢を保つ特徴があるので、そのような動きを行い負荷をかけていきます。
中殿筋トレーニング
- 鍛えたい足を下にしてひざをおへその前まで曲げる
- 下側のひざ・足先と肘で上体を床から持ち上げる
- おへそを下側の太ももに近づける意識で上半身を最大限に捻る
※上の足に体重を集中させすぎないように注意しましょう!
内転筋トレーニング
この筋肉は骨盤の下から大腿骨の内側をそって走る筋肉で、さまざまな状況において姿勢を保持する上で非常に重要な役割を担います。
内転筋のトレーニングにはコペンハーゲン内転筋エクササイズという有名なものがあります。
The Copenhagen Adduction exercise in-season with an 8-week progressive training program significantly increased eccentric hip adduction strength by 35.7% and hip abduction strength by 20.3%.2
訳)コペンハーゲン内転エクササイズは、8週間の漸進的トレーニングプログラムにより、遠心性股関節内転筋力(※)を35.7%、股関節外転筋力を20.3%有意に増加させた。
※遠心性筋力:筋肉の長さが引き伸ばされながらも筋力を発揮して引きちぎられないようにする収縮(力の発揮方法)。さまざまな動きの中で姿勢を整えるために必要な筋力の発揮方法。
今回は複数あるコペンハーゲン内転筋エクササイズの中でも初級と上級の方法について紹介します。
基本的には上級を推奨しますが、痛みや難易度におうじて初級編を行ってみましょう。
コペンハーゲン内転筋エクササイズ-初級-
- 鍛えたい側の足を下にして横向きに寝る
- 足を床から離すように上へ持ち上げる
- 太ももの内側に力が入っているようであればok
コペンハーゲン内転筋エクササイズ-上級-
- 鍛えたい足を上にして椅子など台にのせる
- 下側の肘と台にのせている足で支えて体を床から離す
- 上側の足を閉じる意識で力を入れて太ももの内側に力が入っていればok
ふたつのトレーニングともに2−3秒かけて動かし2−3秒でスタート姿勢に戻るような意識で行いましょう!
外旋筋トレーニング(クラムシェルトレーニング)
この外旋筋はお尻にある小さな筋肉たちのことを言います。
中でも外閉鎖筋と呼ばれる筋肉は、関節を包む膜(関節包)に付着してより関節の噛み合わせを高め安定性および可動性の向上に寄与する役割を担うと考えられています。
ひざをおへその前まで曲げた角度で足を開くように動かすことでより効果的に負荷をかけることができると考えられています。
クラムシェルトレーニング
- 鍛える側のを上にしてひざをへその前まで曲げる
- かかとを支点に上側のひざを開く
- おしり全体に力が入る感覚であればok
※ひざを開いた際におしりや腰が後方へ傾かないように注意。付け根からひらく意識で行うとやりやすいです。
まとめ
股関節に限らずですが、可動性を引き出すためにはストレッチやマッサージなど筋肉をほぐすだけでは不十分な場合もあります。
適切な筋力・機能があってこそ可動性を最大限に引き出すことができると考えています。
ずっとストレッチをやってきたけどなかなか変わらない人はぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
参考文献
- 大山 卞 圭悟.アスリートのための解剖学.草思社.2020 ↩︎
- Ishøi, L., Sørensen, C., Kaae, N., Jørgensen, L., Hölmich, P., Hölmich, P., Serner, A., & Serner, A. (2016). Large eccentric strength increase using the Copenhagen Adduction exercise in football: A randomized controlled trial. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 26. ↩︎