オスグッドやジャンパー膝と呼ばれるひざ(膝蓋骨)下の痛みは、太もも前の筋肉(大腿四頭筋)へのストレッチが優先されますが、以下のように実際の治療現場ではうまい具合にいかないことも多く経験します。
ひざの前(下)の痛みを治したいから太もも前のストレッチをしているんだけど、全然良くならない…
太もも前のストレッチを頑張っていても結果につながらないことも多いんだ。
…?なんで??
太もも前の筋肉が硬くなる原因に対して治療しないと根本的な解決にならないからだよ。
太もも前のストレッチは膝を大きく曲げる必要があり、やる以前に痛みによってストレッチができないことも多いため教わっても実施できないことも多々あります。
※太もも前のストレッチが悪いわけじゃありません!すごく大切なストレッチなのでこの後お伝えするストレッチと一緒に実施してください!
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太ももの前をストレッチしても膝の痛みが治らない2つの理由
成長期の膝の痛み(=オスグッド)や膝のお皿(膝蓋骨しつがいこつ)周囲の痛みに悩むトップ・学生アスリートやスポーツ愛好家の人って少なくないと思います。 そしてその原因の多くは、太もも前の筋肉(大腿四頭筋 ...
上記の記事でも紹介しましたが、ひざの前が痛くなる人は重心が前に乗せられない・預けられない特徴があります。
重心を預けるには股関節で支える必要がありますが、ひざの痛みに悩む多くの人は、この股関節でのコントロールができず、ひざでかばうように重心をコントロールしようとします。
ひざの痛みをとるには、股関節でのコントロールをできるようにすることが必須となります!
今回の記事では、コントロールしやすくするためのストレッチからトレーニング方法について紹介いたします!
- ひざの前・下の痛みにずっと悩まされている選手・保護者
- 太もも前のストレッチを継続しているけどなかなか良くならない選手・保護者
- ひざの痛みを予防・再発予防したいと考えている選手・保護者
目次
自己紹介
10年以上整形外科の現場で多くのスポーツ選手へリハビリサポートし、サッカー現場でも多くの選手をサポートしてきた自分が見てきたケガからの復帰についてリアルな部分をまとめていきます。
重心を股関節でコントロールするために必要な身体機能3つ!
股関節の可動性
股関節で重心をコントロールするには、まず大前提として柔軟性・適切に動いているかどうかになります。
この可動性が十分でないと重心をコントロールするための大殿筋(おしり)ハムストリング(太もも裏)大内転筋(太もも内)が機能しません。
股関節可動性チェック方法1
- 仰向けになり方のひざを胸の前で抱えるように動かす
- 最大限に抱えてからひざを内側へひねるように動かす
- 動かした際に付け根の前につまるような違和感がないか確認する
股関節可動性チェック方法2
- 仰向けになり両ひざをたてる
- かかとは床につけたまま両足を外に広げる
- 可動範囲の左右差や太ももの外側・内側にハリを感じていないか確認する
動画での動きで付け根の前がつまるような違和感や太ももの外・内側にハリがある場合、股関節の可動性が制限されている可能性が高いのでしっかりとストレッチしていく必要があります。
ハムストリング(太もも裏)の柔軟性
ハムストリングの柔軟性が硬くても股関節で重心を捉えることができません。
重心を股関節でコントロールする際このハムストリングは、ある程度伸ばされながらも力を発揮することでひざを固定して股関節で重心をコントロールすることができるようになります。
上の動画のように最低限、ひざをのばしながら70°以上持ち上がれるようストレッチをしていきましょう。
殿部(おしり)の筋力
重心をコントロールするために必要な殿部周囲の筋力を確認していきます。個々の筋力を見ていくことと動作の中で適切に力を発揮できているかふたつの視点から確認していきましょう。
臀部の筋力チェック1
- チェックする側を上に横向きになり、両ひざをおへその前まで曲げる
- おしりがうしろへ転がらないよう注意しながらかかとを支点にして上側のひざのみ広げる
この確認方法では、股関節を自力で最大限(約45°)まで広げられているか、また、抵抗をかけられてもその力に耐えられるか確認します。
殿部の筋力チェック2
- 片足立ちになり頭から浮かせている側のかかとまで一直線に保ちながらおじぎをする
- おじぎをした際に以下のチェック項目を確認して適切に動作を行えているか確認する
ひざの痛みに対するおすすめ股関節トレーニング3つ!
股関節ストレッチ
股関節の中でも硬くなりやすいのが、お尻(股関節外旋筋群)と太ももの内側にある内転筋です。
それぞれのストレッチで狙ったところが適切に伸ばすことができているか確認しながら行いましょう!
外旋筋群ストレッチ
- 足を前後に開き、前足側は膝を横に倒す(四の字の形にする)
- 両手を床につけ体を前方へ倒す
- 前足側のお尻から太ももの外側に伸び感を感じればok
内転筋ストレッチ
- 立てひざの姿勢からストレッチする側の足を外に広げる
- 両手をついてお尻を後ろへ引く
- つま先は上に向けたまま太ももの内側の伸び感を感じればok
ハムストリングストレッチ
ハムストリングのストレッチでは、伸ばしたい方の足にしっかりと体重を乗せながら行いましょう。体重が逃げるとその分ストレッチも甘くなるので注意が必要です。
ハムストリングストレッチ
- ストレッチする側を前にして片ひざ立ちとなる
- 両手を床につけたままお尻を持ち上げる
- 前足側の太もも裏が伸びているようであればok
背中の丸まりが強くお尻が上手く持ち上がらない人も多いです。その場合、お腹を太ももから離さない意識でお尻を持ち上げるとより伸ばすことができます。
重心コントロールトレーニング
Split 伸展回旋
- 足を前後に開きお尻を高く持ち上げる
- 前足側の手は後頭部・後足側は足首に添える
- 上半身を前足側にひねりお尻から太もも裏のハリで姿勢を支える
まとめ
今回は、スポーツに多いひざの前面の痛みに対する効果的なトレーニング方法についてご紹介しました。
患部への負担を減らすことがこの痛みを改善させるポイントとなりますので今回紹介したトレーニングを参考に実践していただけると幸いです!